少年実話 10
2008-03-17
お店へ送迎は滅多にしない俺でしたが、その日は台風でお店が
余りにも暇なので「早上がりするから。」と彼女から連絡がありました。
店の近くに車を止め待っていると、彼女が傘をさし手を振りながら
やってきました。ところが彼女の前に、マンガのような中年男性が現れ
雨の中で土下座を始めました。彼女は男性を抱えて起こし、困惑の表情で
5分程話すとその人に傘を渡して車に掛け込んできました。
どう言う事情であれ、客との関係に一切、感知しない主義の俺は無言で
車を走らせました。1つ目の赤信号で彼女の方から切りだしました。
「あの人、長崎から毎週来る人なんだけど…」と言葉を詰まらせ泣きました。
お客のことでこの子が泣くなんて!とビックリしました。
彼女は「来週、長崎に行って来る…。」と予想外の発言をして、
そのまま黙り込んで、俺から顔をそむけ、窓の外ばかり見ていました。
3日後の朝、彼女は大きなカバンを持って長崎へ向いました。
彼女が玄関先で何秒か立